あなたに届け
「あぁ、いい匂いがする〜」
あげドーナツ。あなたは自分で作ったことがあるだろうか?
もちろん僕にはない。
この日、僕は初めてあげドーナツが揚ってくるところを生で見た。もちろん、ドーナツが揚げ物であることは知っている。知ってはいるが、それは知識のレベルであって、直にドーナツが揚げられているところを見たのは恥ずかしながらこれが初めてだった。
「ドーナツ作りたい!」そう無邪気に語るご本人と裏腹に小山と僕は多少狼狽した。
ドーナツって自宅で作るのってムッチャ大変ちゃいますか?なんてことを言いながら今回も小山が最も簡単にできそうなレシピを見つけてきてくれた。毎度さすがである。
これまでもそうだけど、やっぱりお菓子作りの過程で生地が登場する。大丈夫、流石に見慣れてきた。今回のポイントはなんと言ってもトッピングだ。
2種類、佐藤とチョコレート。失礼、変換ミスだ。
「チョコレートは〇〇にあげたい!」
この子の感性だと思うけど、何かを作る時に自分が食べるよりも先に誰かに送ることを前提に考えている。食べてくれる人の顔を浮かべながら作っているところにいつも感心する。
そうこうしながらいよいよ投入。油の中へ生地が飛び込むと生地は膨らみ、香りがし始める。
あぁ、これはきっとうまい。
そんなことをぼんやりと浮かべながら生地がサクサクに揚ってくる。適度な頃合いを見て、油を切ったらお皿に乗せる。するとこんな具合になる。一口食べたい気持ちになる。
このドーナツが冷めてきたら今度はトッピング。砂糖をまぶしたり、チョコレートをつけて、固めたりすることで愛着も湧いてくる。もちろん、美味しい。
帰り際、パンパンにドーナツが詰まった袋を手に彼女は言った。
絶対喜んでくれると思う!
うん、きっと喜んでくれると思うよ。
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