はじめましてのそのあとで
今日、僕たちは初めてのチャレンジがあった。それは2人のお子さんが一つのクラスに来ることだった。
「そんなのは当たり前でしょ。」と思われるかもしれないけれど、僕たちはこれまで1人のお子さんに2人で関わる体制だった。手厚く個別対応という意図があったというよりはまだ定期的にお越しくださるお子さんが多くないためだ。
だけど、今日は別日にきていたお子さんが日程を振替たため、2人のお子さんが一つのクラスに来ることになった。僕たちは色々なことを考えた。
「仲良くやれるだろうか?」
「いや、仲良くやれないとしてもそれはそれで学びになるだろう」
「でも、全く干渉せず同居人的な立ち位置になるのも違わないだろうか」
「一方でこれまでそれぞれのペースでやれていたことがやれないことがあるだろうか」
そんな数々の不安の中、クラスが始まった。来て最初にやるのはチェックイン。僕たちは普段から最初に集まったらお互いの気持ちを確認するために、「今の気持ち」を一言伝える時間をとっている。その際に自己紹介も一緒に行った。
2人とも緊張した様子。そして、僕たちも緊張した様子でどこかぎこちない。
「まずは、買い出しに行こう」
そう呼びかけて、出かけた。それぞれが歩き慣れたスーパーまでの道を歩き始める。話をしたり、周りのものに注意を向けたり、それもどこかいつもとは違う。でも、不思議だったのは徐々にそのいつもと違う感じが楽しくなってきたことだった。
2人も楽しんでいるように見える。必要な食材を買い揃え、それぞれ活動に。今日からクリスマスに向けてケーキ作りや飾り付けを行って、クリスマスイベントを通じて、生活を豊かにする力を育んでいこうと考えていた。まず、初回の今日は飾り付けを中心にやるためにホイップクリームを作ることとデコレーションの素材を扱うことにチャレンジした。
元々はそれぞれ別のアクティビティを用意していた。これまでの延長で1人は映像作り、もう1人はケーキ作り。でも、映像を作ろうとレゴを触り始めた時にキッチンから賑やかな声が聞こえる。
「あっち行ってもいい?」
そう聞かれると僕はすぐに「もちろん」と答えて合流した。それぞれの「やりたいこと」を尊重するということは必ずしも本人たちの気持ちに応えることにはならないみたいだ。好奇心にしたがって夢中になって活動をしているうちに、自分がこれまでしたことがないチャレンジで満たされた時間になっていたら嬉しい。
お菓子作りはこれまでやってきたこともあり、テンポよく進んでいく。ホットケーキを焼いて、食べやすいサイズにカットしてカップの中に入れていく。
カップの中にホットケーキを入れるのはスポンジ代わりにするためで、今日の中心はここから先。一つ目の新しいチャレンジはアポロチョコレートを手作りすることだ。生のチョコレートを型の中に流し込んでいく。その結果がご覧の通りだ。
当然だけどうまく行ったものもあればそうでないものもある…笑。次にこれらを飾り付けていくためにホイップクリームを作っていく。ミキサーで混ぜながらクリームが泡立つのを見守る。
そして、出来上がったクリームを半分だけ、ボウルから取り出して、ボウルの中にチョコレートクリームを流し込む。するとチョコレートクリームが出来上がる。なるほど。こうしてチョコレートクリームが出来上がるのかと側で感心する。そして、そのチョコレートをかけるとこうなる。
おおおお。
ってカップちゃうやん。
と思った方もおられるかもしれない。ちょっと綺麗に撮影できなかったので、いい感じに撮影できたものだけ掲載させてもらった。僕の恣意的な判断である。
何にしても初めて出会った2人が協働作業をして、やってもらったことに「ありがとう」と伝え合っていたことがとても印象的だった。ある種、とても社交的に見えたし、大人でもなかなかそういう素直なコミュニケーションはできないと思った。
いや、むしろ大人になるほど素直なコミュニケーションができなくなるのだろうか?
もしそうだとしたら、彼らの相手を思いやるその姿勢が失われないように、その素敵な感性を守っていきたい。そして、何より、今日、僕たちはフリースクールにデビューしたような気持ちだった。というのはこれまで個別での関わりが中心で、あまりクラスや学校というある種の集団ではなかったからだ。
でも、今日、確かにここには集団があり、それぞれがその集団の中で学んでいるようだった。こういう瞬間をこれから一度でも、二度でも増やしていきたい。
ありがとう。
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