「やってみたい」に応える
ウィーーン。
ウィーーーーーン。
年季の入ったハンドミキサーが空を切る。
ウィーーーーーン。
わかる。わかるぞ。そうやって目の前のボタンを押したい気持ちが。キッチンで何かを探している小山を待っている間、僕らはひたすらミキサーと向き合う。
ウィーーーーーン。ウィーーーーーン。
今日も買い出しに行き、材料を揃え、いざ調理という段階だ。作るのはパウンドケーキ。おっさんの僕にとってはパウンドケーキは買うものであるが、どうやら必ずしもそうではないようだ。僕の今日の仕事は無塩バターをレンジでチンして溶かすことだった。
↓こちら僕の仕事の結果。
そして、小山が戻ってきて、一つ一つ進め、まずはペーストを作った。そして、卵白をいよいよ泡立てる時がきた。いよいよだ。修行の成果を見せてやれ。
ウィーーーーーン。ウィーーーーーン。
マスクでわからないけど、あの顔は多分、ご本人さん、集中するあまり口が空いてたに違いない。でも、そのくらい一生懸命だったと思う。
不思議というほどではないけど、いつ頃からか僕自身も「やってみたい」と思うことに熱中できていないこともある。言われた作業を作業と割り切って無感情でやる。本当はもっといろんな好奇心を持っていたはず。もしかしたらそんな好奇心は思い出と共に学校のロッカーにでも忘れてきたのかもしれない。
ウィー……
そうして、卵白が泡立て終わるとペーストに混ぜ合わされていく。そして、形を整え、焼きに入る。
↓焼く前の仕上げ作業
↓完成形がこちら
こんがりといい色で焼けてる。一生懸命作って、一生懸命楽しむこと。そして、味まで美味しい。こういう時間を増やしていくことが「ころころ」の価値なんだよなと再確認する時間だった。
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